#14-Bunkamura202212 終


開催期間:2022 12/2(金)~12/8(木)
場所:渋谷Bunkamura Box Gallery

渋谷Bunkamuraはオーチャードホールを除き2023年4月10日から2027年度中(時期未定)まで休館します。

僕がガラスアーティストとして駆け出しだった15年くらい前、数十人によるクラフトマーケットに参加したのがBunkamuraとの初めての出会いでした。最初の出店は箱型の什器一台だったかな?売上で結果を出して、2台、4台と増えていき、1棚までやらせて頂ける様になり、社員さんに掛け合ってBox Galleryをなんとか貸してもらえたんだっけ。Box Galleryでの初個展は2013年。それから年に2回、計20回ほども個展をやらせて頂いた。

2013年当時、Box Galleryで年に2回の個展をやる人はあまりいないと聞いた。それでも夏/冬でテーマを変え、ディスプレイも頑張ることを条件にやらせて頂けた。自らにかかるプレッシャーは強かったが、ディスプレイ用品を自らで作り、レイアウトを凝ることで印象に残る展示をすることができた。

渋谷の一等地で個展ができる。その対価を示す必要が僕の中にはあった。それは自分のお客様を渋谷Bunkamuraのファンにすること。自分の展示以外にも足を運んでもらい、素晴らしい場所であることを認知してもらう。僕の力なんてちっぽけだけど、多くのお客様がBunkamuraのファンになってくれた。
僕は、その場所でやらせていただく事の対価をいつも必ず考えている。それが持ちつ持たれつ、素敵な関係性というものだから。

今展のテーマは「光」。
僕にとって、Bunkamuraでの最後の個展になるので、これからの自分、未来を照らしてもらう存在として。また、場所を替え、これからも活動されていくBunkamura Gallery(渋谷ヒカリエ内「クリエイティブスペース8/(はち)」に移転。)の栄えある未来を願って「光」というテーマにした。

メインになる作品として「MOON 月」。
月は満ち欠けすることから「成長」を意味します。今展で月の作品を多く用意したのは、僕/Bunkamuraのこれからの成長を祈ってのものでした。月の光は、電気の無かった昔の人にとっては大事な「光」でした。足元を照らし、家の中に光を運んでくれる大事な存在だったのです。

「AURORA オーロラ」はラテン語で夜明けを意味します。その事から派生して「再出発」を象徴する存在です。僕/Bunkamuraにとって再出発となるこれから。勇気ある再出発を願い、オーロラ作品を数点用意いたしました。

「BLESSING 祝福」や「LEGACY 遺産」も今展を彩って欲しく製作した作品です。人生には幾度かのターニングポイントがあると思います。それを意味/意義あるものにするかどうかは自分にかかっています。僕にとって決してネガティブなものではなく、とてもポジティブなものにしたかったので、ダブルミーニングの作品をいくつも用意し、会場に散りばめました。お客様にもBunkamuraのスタッフさんにも特に説明しませんでしたが、僕からの陰ながらのエールであり、個展を色濃くするものでした。

 

アーティスト/作家はその場所で自分の作品をお披露目し、販売します。必要な場合はその施設に売上フィーを支払い、施設使用料を払います。お金を払ったんだから好きに使っていい、そんなことはありません。その場所には歴史があり、色んなアーティスト/作家の痕跡、お客様の喜びが宿っています。そして自分の作品はそういった歴史/潮流の中の一地点として存在します。自分にとって自分の作品は絶対的な存在だけど、決しておごる事なくその流れに身を置かなければいけません。

「神は細部に宿る」ってアーティストにとっては大事な表現があります。作品の完成度を表した表現だと受け取られがちだけど、飾り方、提供方法(お包み)、テーマ性、飾り方・・・全てにおいて関わってくる表現だと思っている。これからも丁寧に作品を作り出し、また作品が喜ぶ様な演出を心がけていこうと思っている。結果的に神が宿り、お客様の笑顔を産んだら作品も材料もその場所も歴史も昇華される。

場所は変わるけど、来夏も東京のどこかで個展をやるつもりです。大事なことを見失わない様にこれからも自分らしく作品と向き合っていきたいと思う。一期一会。