#7-神戸の思い出話


 時を遡る事2007年、ガラス工芸を独学で始めてから34年経った頃「百貨店の催事ではなく、ちゃんとした箱で個展をしたい。」との想いで始めたのが、横浜石川町の小さなギャラリーでの個展。いざ開催してみると、関西からわざわざ来てくれる方も少なくなかった。交通費をかけて、大事な時間をかけて、そのギャラリーまで来ていただくのがいつからか申し訳なくなり、「これは関西で個展をやらなければダメだ。」と、自分を奮い立たせ、京都/大阪/神戸とギャラリー探しの旅をしたのが2009年。
 何のアテもなく各都市沢山のギャラリーを巡りながら辿り着いたのが『トアギャラリー』。オーナーさんも素晴らしく、綺麗な白い壁で、大きな道沿いの一階。そして何より横浜石川町に街の雰囲気が似てた。どちらも港/中華街/商店街(ロード)/異人館街がある。そして新しいモノを拒まない、港町特有のおおらかさ。そんな共通点もあって、飛び込みで予約をし、2010年が神戸での初個展となったわけだ。
 10年前から今も変わっていない想いは「思い出に残る様な体験/買い物をして欲しい。」と言う事だ。それを演出する為には、それなりのサイズのギャラリーでなくてはならないし、やりたい表現をやりやすい設備が必要だ。今までもこれからも、大事なのは作品を如何に気持ち良さそうに演出してあげられるか。と、お客様の購入体験の質の向上だと思っている。
 元町/三ノ宮も少しずつ変わってきた。コロナ禍に打撃を受けた街の光景を2年前のそれと比べるのは正しい見方では無いかもしれない。来年の今頃には傷も癒え、街に活気も戻っているだろうか?大好きな街なので早く元の姿に戻って欲しいし、神戸のポテンシャルをもっともっと見せつけて欲しいと思っている。私がこれからもこの街でベストパフォーマンスを見せられるか、それとも今の自分にもっとフィットする場所を選ぶのか?自分自身も未知だが楽しみでもある。大事なことを見失わない様、しっかり街を時代を見ていきたいと思っている。