#9-Bunkamura202112 終


開催期間:2021 12/4(土)~12/12(日)
場所:渋谷Bunkamura Box Gallery

2021年冬の渋谷Bunkamura個展が終了しました。

 

 かれこれ何回目になるだろうか?Bunkamura Box Galleryでの個展。毎回テーマを設け、それに沿った作品構成とレイアウトを組む。10年以上繰り返しているこのリズムだけど、未だに慣れるなんて事は無いです。

 今回もたくさんのお客様が来てくれました。初めての方は、他には無い作品(技術)とディスプレイに驚いてくれ、何度か来てくれてる人は、前回(毎回)より見応えが増えていく事に驚きと感嘆の声を頂きました。

 今回の個展のテーマは『無垢の愛』。ここ数年の個展のテーマは少し感傷的と言うか、スピリチュアルと言うか…やはりコロナに引っ張られている事は否めない。『無垢の愛』はメイン作品にもなったスピリットベアの親子を作ろうと思った時に思いついたテーマです。動物はどんな環境に置かれても、無慈悲な狩猟対象になっても、命を繋ぐことに全てを注いでいる。無碍に何かを傷つける事も無く、自分の生、子孫への生に穢れなき愛を注ぐ。自分がその様に出来ているかと言えば、ほとんど出来ていないわけだけど、なるべく心掛けたいとは思っています。

 このテーマに引っ張られて、動物の作品が多くなった今展。色合いもベージュやグリーン、ピンク、パープルなど、柔らかい印象のカラーや、背面に半透明のガラスを使用する事で、ガラスの強い煌めき、透明感とは遠い距離にある、光が内包する様な優しいミルキッシュな作品も多くなりました。

 さらに『無垢の愛』のテーマから引っ張られて、かすみ草をディスプレイに取り入れました(かすみ草の花言葉は「清らかな心、無垢の愛」)。こだわりの照明はフィラメント電球に見立てたLED球。普通の白熱球だとドライフラワーを飾る事は火災の恐れもあるので出来ないが、熱をあまり発しないLEDだからこそ出来た飾りで、遠近どちらから見ても優しい光をこぼす照明になってくれました。会場内にある物ほとんどが僕自身による手作りで、転がっている大小の本は、中が空洞でマトリョーシカの様に入れ子状になっています。いつもは置いて展示しているだけだけど、今回は花を挟んだり、中の空洞部分に花を豪快に入れ込んでみました。

 この空間にいることで、癒されたり、力が満ちたり、嫌なことを忘れられたり。アートとはそんな役割を担っていると思っています。次回もまた新たなテーマを設け、新たな仕掛けを用意してきたいと思っています。「また来たい!」と思ってもらえる様に。