#10-京都202203 終


開催期間:2022 3/16(水)~3/21(月)
場所:アートギャラリー北野 1F

 

 昨年6月に開催した京都個展から10ヶ月。あの頃の自分、まさか今年の京都もコロナ禍の真っ只中だとは想像もしていなかっただろう。なぜなら前回の個展を終えた際の反省ノートに書き連ねてあった次回の宿題の内容は、国内外の観光客への対応などがほとんどだったからだ。

 今展の準備は2021年末から始めた訳だが、春に劇的に状況が良くなる兆しもなかったので、海外のお客様への対応は、100%完了しておく必要がなかったのは気分的に軽くなれたけど、作品の英語表記などは今後の展開も考慮に入れて随時進めていく必要がありそうだ。

 アートギャラリー北野は三条河原町の大通りに面している。歩行者の目を引きつつ、自分の作品の世界観を崩さないディスプレイ。。。これは難しいのである。作品がものすごい小さいので、ガラス作品そのものではアイキャッチには向かない。だからと言って拡大写真のポスターだけでは、街のサイン/ディスプレイに埋もれてしまう。意識内外のフックに必要なのは、ちょっとした違和感。「ん?」って瞬間的に思ってもらわなければならない。かといって奇抜すぎるのは街の景観も損なうし、アートとしてのレベルも低い。それくらい、この情報に溢れる現代において、アイキャッチやフックを仕掛けるのは非常に難しい。
 自分はと言うと、自作の大きな本をゴロッと置き重ねている。電子書籍化が進む現代において、巨大で分厚い本は異質な存在である。見慣れない、あるいは忘れつつある光景がフックであり、アイキャッチになっている。私なりのインパクトであり、作品の世界観を失わない(あるいは増幅させる)装置である。
 

 今展は「すっきり魅せること」もテーマの一つだった。街をぶらぶらしていて、たまたまギャラリーに入ってくれたお客様には、多すぎる情報量は居心地の悪さを感じさせてしまう。かといって、すっきりしすぎるとお高く止まった堅苦しい展示になる。バランスが難しかった。

 

 来春も京都個展きまりました。来年こそは笑顔の口元を見せ合い、握手し、ハグし、心置きなく趣味を語らいあえたらと願っています。